アトピーの地図を更新しなければ「世界」は以前のままだ

コラム

私は知っています。

アトピーの方にとって「具体的でない話」は好まれないことを。

私は知っています。

こういう「アトピーとは無関係に思える記事」なんて避けられることを。

だからこそ「大きく差が生まれるのです。」

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「地図はその土地そのものではない」 (The map is not the territory)

これはアルフレッド・コージプスキーが彼の著作「科学と正気」で提唱した一般意味論の原理です。

「地図はその土地そのものではない」……当然といえば当然ですよね。

地図記号なんて現地に行っても見つかりませんから。

実際の山には等高線なんて引かれていませんからね。

では結局のところ「地図はその土地そのものではない」とは何が言いたいのか?

それは「私たちが『これが世界だ』と認識しているものは世界そのものではない」ということ。

すなわち「地図が現地そのものを表していないように、人間の認識は世界そのものをつかんではいない、人間は世界をそのまま認識していない」ということを教えてくれているのです。

なぜならば、人間は世界をダイレクトに体験できないから。

人間は”神経系の構造”と”言語構造”といったフィルターを通じて外部からの情報や刺激を体験しているのですが、

フィルターを通じて外部情報を受け入れているということは人間はありのままに世界や事実を認識することができない。

”言語構造”といったフィルターを通じて外部からの情報を体験しているということは、

事実を言葉を通じてしか認識できないということです。

すなわち言葉を知らなければ、事実は認識できないのです。

たとえばスマホ。

スマホという言葉を知らなければ、スマホは風景に溶け込んだままであって認識にのぼってはきません。

私は最近、カメラを趣味に持ったのですが、それ以前の私はレンズにこれだけの種類があるなんて知りませんでした。

カメラの持ち味がメーカーによって違いがあるなんて知りませんでした。

けれど、カメラに興味を持ち勉強すればするほど(言葉を知れば知るほど)今まで知らなかった「カメラの世界」が私の眼前に立ち上がってきたのです。

まさに「世界は言葉で出来ている」のです。

事実は言葉を通じてしか認識できない。

ということは言葉を知らなければ、その世界が「ある」ことすら知りえないのです。

自分が「その世界を知らない」ことすら知らないのです。

そこでアトピーです。

あなたが知っているアトピーは「アトピーではない。」

この言葉の意味に気づいた方もおられると思います。

気づかれた方は続きを読む必要はありません。

しかししっくりこない方はこのまま読み進めてください。

さて、私は日々、アトピーの方の相談に応じています。

かれこれ14年もこの仕事をしています。

アトピーを難治化させている方ほど、「アトピーとはこういうものだ」と固定的な見方しかできていません。

あまりにも「アトピーに対する見方が固定的過ぎる」のです。

それは「アトピーの既存の知識、言葉」に自己を同一化しているからです。

同一化しているから変化も起こせないのです。

よく「治る兆しすら見えない」という声を聞きますが、当然です。

なぜならば「アトピーの既存の知識、言葉」に同一化しているから。

具体的にいってしまうと、アトピーは何かを塗れば治ると思っているとか、何かを口に入れると治るとか、何かを避ければ治るとか、思っているならば、それは未だに固定的な考え方をしているといえる。

むかしからの考え方、言葉を信じ込んでいるから変化できないのであって治る兆しが見えないどころか、むしろ変化させようとする方が難しい。

「アトピーはこういうものだ!」「俺の考えるアトピーはこれだ!」と信じ込んでいるとアトピーという沼に足をすべらしてしまう。

そう、抜け出せないのです。

まるで過去から、這い上がれないように。

でも、それは仕方がない。

誰もが自分のことは自分がいちばん理解できないし、わからないから。

自分のことなんてわからないから。

教えられた通りに一生懸命に闘ってきたのだから。

そして、その時々で精いっぱい頑張ってきた積み重ねの上に「いま」がある。

今を生きている。

だから、もう自分をひどく責めないでほしい。

否定するのはあなたという存在ではなくて、「あなたが信じている既存の思考の枠組み」こそを否定すべきです。

あなた自身が同一化している「アトピーにまつわる言葉」「アトピーの地図」を今こそ返品しようではないか。クーリングオフはいつでもできる。

あなたが信じている「アトピーの地図」がアトピーではないから。

いいですか?

いくら努力しても変化が起きないのは「あなたのアトピーの地図」が更新されていないからです。

「既存の知」と「既存の思考の枠組み」のままでは、今までとまったくちがう結果をだすことはできない。

「アトピーが発症した時の考え方」のままで、まったく違う結果を望むのは無理がある。

変えるのはアトピーグッズではない。

スキンケア商品を、とっかえひっかえしても「変化は絶対に起きない。」

変えるべきはアトピーに対する見方であり考え方です。

それを見ないふりをして食事改善にいそしんでも……具体的なものばかり追いかけても……努力の実は結ばないでしょう。

では最後にもう一度、大切なことをいいますね。

あなたの知っているアトピーは「アトピーではない。」

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会会員 渡辺勲

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