アトピー性皮膚炎は、生後まもなく発症し、悪化と緩和をくりかえしながら慢性的に進行する強いかゆみのある皮膚疾患です。症状は思春期以前に達すると軽くなるといわれています。
しかし、思春期以降でもアトピー性皮膚炎を発症させ、症状をくりかえし顔や首の皮膚がゴワゴワと厚くもりあがり、肌はカサカサして赤く乾燥してしまい悪化のまま成人を迎える人が増えています。
現在、成人型アトピー性皮膚炎とよばれるタイプに悩む人が増えています。
私が相談に応じてきた「大人になっても治せないでいる人」の多くがステロイドを長年、塗ってきた人たちです。
長期間、ステロイドを塗り続けると効果よりも副作用の方が大きくなります。ゆえに薬物治療の問題は看過できません。
さらに、混迷を深めさせているものがあります。それが、アトピーとアレルギー疾患の混同です。
この混同が患者の困惑と困難を増幅させているのです。だからこそ、一般論の枠組みから抜け出す「思考のレッスン」が必要なのです。
徹底したアレルゲン除去が患者の困難を深める
一般的にアトピー性皮膚炎の性質は以下のように考えられています。
【一般的なアトピーの原因と対策】
- 皮膚にアレルゲンが触れると強いアレルギー反応が起きる。
- よって、炎症が起きてかゆくなる。
- アレルゲンとはアレルギーを起こす原因物質である。
- アレルゲンの代表がダニ、カビ、食べ物、花粉。
- アトピー肌は皮膚バリア機能が低下している。だから、外部からのアレルゲンなどの侵入をゆるしてしまう。よって、皮膚に反応が起きてしまう。
- 以上の原因に対して、「アレルゲンの除去」と、皮膚のバリア機能低下を補う「スキンケア」が対策としてある。
よって、アレルゲンを徹底的の除去しましょう、スキンケアをしましょうと指導されるのです。
だから、アレルゲンを低減するサプリメントが売られ、低刺激スキンケア用品がネットでよく見かけるのです。
もちろん、これらの対策も「ある程度」は必要です。
しかし、根本的に診たてを間違えています。
アトピーはアレルギー疾患のカテゴリーに入っていますが、その原因はアレルギー疾患と大きく相違があるのです。
つまり、アトピーにはアレルゲンがないのです。ゆえに、家庭内や食事においてアレルゲンを徹底的に除去しても軽快するとは限りません。
むしろ、除去してもしなくても治る時は治るのです。
ましてや、大人のアトピーではアレルゲン除去は効果ないといえます。
私は多くの社会人のご相談に応じています。みなさん食事に気をつけて掃除をしています。ですが、治っていません。
ハウスダストを嫌って家を建て替えた人もいます。しかし、治っていません。
要するにアレルゲン除去型の対策はお薦めできません。
スキンケアにつでですが、乾燥が痒みの原因ですから肌に水分を補給するスキンケアは必要です。
化粧水で肌を潤すことだけをすれば良いです。クリームやワセリンやローションを塗ることはお薦めできません。
なぜならば、肌に熱がこもっているから乾燥するのであって、肌の上に何を上塗りすれば余計に熱がこもるからです。
しかし、多くの方がワセリンやクリームを塗りたがります。一度決めたことは、なかなかやめたがらないのが患者たちにありますよね。
しかし、そうした過去において決めたことが悪影響をあたえている現実も知っておきましょう。
そして、スキンケアは特に治癒をもたらさない対処療法であって根本的な対策ではありません。
アレルギーは大昔からあった。現代病ではない。
いまでも根強いアトピーの原因についての言説があります。つまり、これです。
「アトピーは昭和30年代ごろから急増し、食の欧米化や公害や化学物質、食品添加物の氾濫が原因と考えられる」
私もこの考えをマクロビオティックを学ぶなかで強く支持していました。
でも、いまでは懐疑的です。もうお気づきでしょうが、アトピーとアレルギーを混同しているからです。
さらに、「アレルギーは古代からあった」し、「現代社会の食事や環境にどっぷり浸っていてもアトピーではない人は大勢いる」から。これが懐疑の理由です。
アレルギーは古代からあった
1906年、アレルギーという言葉を初めて使ったのがピルケという人です。
さらに古代にさかのぼることギリシャ時代。気管支喘息で死亡する例が古代の文献の記載されています。
喘息の語源は古代ギリシャの医師ヒポクラテス(現代医の祖)による文献に見あたります。
喘息は中国医書の古典「素問」「霊柩」に記されています。日本ではすでに平安時代の源順の手による「和名類聚鈔」、室町時代では「節用集」に喘息について記載されています。
つまり、大昔からアレルギーは存在していたのです。それでも、アトピー急増を戦後社会の歪にしたがるでしょう。そういうデータもあります。ですが、環境の良い森に囲まれた町にも患者はいて、私への相談は多いのです。水と空気の綺麗な地域の方でも皮膚炎で苦しむ人はいるのです。
好きな食べ物を食べても症状がでない人は大勢いる
お菓子やステーキや、お酒を食べて、飲んでも肌が綺麗な人がいます。
一方で、好きな食べ物を我慢して制限していても治らない人も大勢います。
ちなみに私は一切の日常生活で制限も我慢もしていません。ベッドの布団もそのままです。掃除もめったにしません。
レトルト食品も食べますし、深夜のラーメンにかつ丼も大好きです。しかし再発しないのです。普通の人と同じ生活をしても症状がでないのです。
さらにいえば、多くのアトピーを治した人に聞けば、特に何もしなくても治ったというくらいですから。
では、ストレスが原因なのか? と思われたかも知れません。ですが、これも疑わしいのです。
ストレスは原因にならない
成人型アトピーについて、かつてのテレビ番組「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」で特集がありました。
原因はストレスだと番組では解説していました。
転職・結婚・離婚・転居・別居・部署の配置転換・子育てなど、大人ならではの生活の変化の折り目に、急に発症した事例が紹介されてました。よって、大人のアトピー性皮膚炎は、生活の変化によるストレスが原因が「番組の見解」でした。
ストレスは活性酸素を体内で産生させますから、その活性酸素の関与が皮膚に起きれば、皮膚炎になるわけです。よって、ストレスは原因としてあげられるでしょう。
しかし、もうお気づきでしょう。生活が変化してもすべての人がアトピーにはなりません。多くの方が人生で変化を経験しています。しかし、みんなが病気になりますか? なりませんよね。
ストレスは悪者ではありません。ストレスがない場所は墓場です。一生、ストレスから逃れることはできません。
また、ストレスを避けようとすれば、家の中で何もせず、じっとしないといけません。あなたは隠遁生活を望みますか?
はっきりいいます。家の中に10年以上も引きこもっている方からの相談もあります。40歳前半だが無職、ストレスや生活の変化に無縁だけど治らない人からの相談もありました。
私も仕事をアトピー悪化で辞めましたが、まったく治りませんでした。
それでも、あなたは原因を「生活の変化にともなうストレス」「アレルゲン」「化学物質」に求めたがるでしょう。
実はこれが罠なのです。
原因を外部に求めるメリットとデメリット
あなたはアトピーの原因を「生活の変化にともなうストレス」「アレルゲン」「化学物質」に原因を求める、つまり犯人探しをしていることでしょう。
ちょっと耳の痛いことを申し上げます。
そうやって、問題の原因を外部に求めることにメリットがあります。それは何だと思いますか?
それは、自分を守り、正当化できるというメリットです。つまり、私は悪くない。ストレスが、ストレスを生む上司が同僚が、化学物質が食べ物が悪いのであって私は悪くないと、自己を正当化できるメリットがあるのです。
つまり、自分は変わりたくない。変化したくない。変わるべきは周りであって私ではない。そして、これが行き着く先が医療批判です。ステロイド非難です。医師に見捨てられた、見捨てた医師が悪いと、かつて頼っていた医師や薬に責任を投げつけるのです。
もう、こうなれば意固地な自我しか残らない。自分自身に変化がないので現状が維持されます。ゆえに身体状況も変わりませんので、病気も治らないのです。
でも、アトピーの辛さは変わりません。だから、薬に依存して手放せないようになります。
とりわけ男性の方に多いのですが免疫抑制剤をずっと飲んでいる相談者は多いです。
どうか薬に依存することはやめましょう。ステロイドには連用使用の禁止が規定されていることは覚えておきましょう。
ステロイドを塗るだけでは完治しないのは、周知の事実です。急場しのぎでステロイドを塗る必要性は否めません。しかし、ステロイドだけでは症状を長期化させるだけです。
仮にストレスがアトピーの原因としましょうか。ならば余計に原因を自分の外部に求めてばかりだと人生は前に進みません。
なぜ、この時期に発症したのか? このアクシデントはわたしに何をメッセージとして伝えようとしているのか?
あなたは人生の転機の最中にある事でしょうか。もしくは人生の持ち越してきた課題の再燃に、あなたは手を焼いているのかも知れない。
そうであるならば、急に顔が赤くなって右往左往するよりも、冷静に人生を見直すチャンスに思えないだろうか? しかし、急ぎ過ぎた生き方をしてきた「あなた」にすれば、この真っ赤な腫れあがった顔を、明日までに何とかしたいのだろう。
私も激悪化で会社を辞めて失業してしまったことがある。
ちょうどこの左側の写真が当時の姿です。しかし、今では(右側)すっきり完治して再発もないです。
大丈夫だよ。時計仕掛けのようにアトピーは翌朝、すっきり消えてなくなる事って珍しくない。そのためには、あなたに準備して頂く事がある。
なんの準備かって? 急ぐんじゃないよ。
次のページをじっくり読み進めてほしい。そしてアトピーの本質をつかんでください。
このページを読んでほしい。わたしも大人になっても苦しんだからね。