アトピー性皮膚炎とは
日本皮膚科学会ではアトピー性皮膚炎とは「憎悪・寛解を繰り返す瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはその背景にアトピー素因がある」と定義しています。
この意味とは、アトピー性皮膚炎はよくなったり悪くなったりを繰り返しながら長く続くかゆみの強い湿疹であり、患者さんの多くはIGE抗体を作りやすく、喘息や鼻炎などのアレルギー性の病気にかかりやすい体質(アトピー素因)を持っているということです。
ここで湿疹というのは、痒みが強く、皮膚は赤くなり(紅斑)、腫れてしまい(浮腫)、ブツブツ(びらん)、皮膚が乾燥してカサカサになり皮が落ちたり(落屑)している状態をいいます。
アトピー性皮膚炎の症状
つまりアトピー性皮膚炎は湿疹なのです。けれども肌の症状は様々です。
多くのアトピー性皮膚炎は、乳児期に始まります。
乳児期における皮膚の症状は顔から始まることが多く、乾燥よりもジュクジュクした感じです。
成長していくうちに皮膚はカサカサと乾燥していきます。いわゆるアトピー性皮膚炎の肌の状態に近づいていきます。
痒みが強いので度々掻いていると、症状は悪化して皮膚は厚くなっていきます。これを苔癬化といいます。
そしてまた皮膚の炎症は肘裏や膝の裏側に発症します。
さらに強く掻いていると小豆くらいの硬いブツブツがでたりします。これを結節性痒疹様皮疹とよばれる状態です。
また大人になると、顔が赤くなり、首が黒ずむ色素が沈着するようになります。
アトピー性皮膚炎の診断
アトピー性皮膚炎は、痒みが強いこと、湿疹が全身に広がることなど主に臨床症状から診断します。
またアトピー性皮膚炎の多くは乳幼児期に発症し、成長するにしたがって少しずつ改善していく疾患でもあるのですが、良くなったり悪化したりしながら長く症状が続くことも特徴にあります。
これは、診断の重要な基準であり、乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上特別な原因がなくて湿疹の症状が続いてることが診断の目安のひとつとされています。
したがって、1~2か月の治療で治ってしまうような湿疹はアトピー性皮膚炎とはいえないのです。
また、アトピー性皮膚炎と症状が同じようにみえても異なる皮膚病が複数あるため区別することが必要です。
たとえば、接触性皮膚炎である「かぶれ」はその代表的な皮膚病です。
アトピー性皮膚炎の診断のために必ずやるべき検査はありません。皮膚テストや血液の検査(IGEや好酸球の検査など)等はアトピーの体質があるかどうか、あるいは原因や病気の勢いなどを知る助けになることがあります。
また、アトピー性皮膚炎には原因となったり症状を悪化させる多くの要因(原因・悪化因子)が知られていますが、それが本当に原因・悪化因子であると決めるためには、医師の指導による除去・負荷試験(それを避けたり与えたりして症状の変化をみる試験)が必要です。
また、本人に他のアレルギーの症状があるかどうか(既往症)、家族にアレルギーの方がおられるか(家族歴)などを知ることも診断の参考になります。
では、具体的にアトピーを治していくには何をすべきか? このことをお伝えするページを用意しました。お読みください。
NPO法人日本成人病予防協会会員健康管理士
渡辺勲