私は、どちらかといえばステロイドを肯定する立場です。
肯定はしますが、ステロイドは対症療法です。
ステロイドがアトピーを治すとは考えていません。
症状の悪化を食い止め、回復力が高まるのを待つ。これが薬の役目だからです。
ステロイドは、アトピー症状を抑える目的で処方されます。
「アトピーとは免疫機構の暴走によって起きるのであって、免疫を抑制すれば症状はおさまる」という考えが西洋医学にはあります。
よって免疫抑制剤としてのステロイドが皮膚科で処方されるのです。
ここをご存じない方は多いように思えます。
ステロイドそのものがアトピーを治癒するのではないでしょう。
もしステロイドを塗って治ったならば、それは回復力が持ち直した結果、治ったのであってステロイドが治したとは言い難いのではないでしょうか?
もっといえば実際、ステロイドを使わずにアトピーを治した人はいらっしゃいます(私もそうでした)。
ですので「ステロイドを塗るのは正しい」わけではなくて、例外は必ずあります。
そもそも病気というのは、その人のものです。
ですから「アトピーにはステロイドだ」といった押し付けに従う必要はないでしょう。
ましてやステロイドには「長期連用使用による副作用」があります。
ステロイドを使わず東洋医学や自然療法で治したいという考えは尊重されるべきでしょう。
ただ、アトピー症状がずっと続くと、よく眠れないなど回復力向上を妨げるかも知れません。
またアトピーというのは掻くことで広がっていきます。薬を使って症状を抑える必要はあると思います。
夜も眠れないほど、仕事にも支障がでるほど、生活に集中できないほど、痒ければ、薬に頼らざるをえない場合もあると思います。
そうは言っても、特に顔ですね。顔にステロイドを塗るのが嫌でした。
アトピーがでている顔をなんとか隠したくて薬を塗る方は多いと思います。私には、そのような気持ちがなかったのです。
アトピーが出ている顔……当然、気にはしますし、げんなりはしますが……、
他人様に見られても「別にいいや」って思うのです。
顔に薬を塗るとベタベタするでしょ? あの違和感が嫌だったのです。
他人に見られてもどうでもいいや。それよりも「アトピーであっても素肌の顔でいたい」そんな想いが強かったですね。
そう、そう! なにも塗らない気持ちよさを選びたい。ただそれだけなんですよ。
確かにアトピーの顔で道を歩いていたら、何度も見られたり、二度見されたりしました。
けれど見られる辛さよりも、アトピーがでて顔が痒い、イライラする辛さの方が嫌なのです。
薬を塗って顔がベタベタする辛さの方が嫌なのです。
だからと言って「アトピーをさらけだせば治る」なんて、そんな主観的なことを言うつもりはありません。
アトピーをさらけだしても治りませんからね。
ただ「薬を使ってアトピーを隠す」という気持ちがなかっただけであって、
そうはいってもやっぱり私は、アトピーの顔を鏡で見るのは嫌でしたよ。
私は20年以上もアトピーでして「目も腫れて」「眉毛も抜けて」「シワだらけで」「若さのない顔」に変わり果てたのが辛かったですし、
会社の上司から「そのアトピーの顔! どうにかしろや!」と叱責されたこともあります。
とても辛かったです。
私は赤黒い顔が、白くなることを夢見ていました。
そして、ステロイドと私の関係について言うならば、
ステロイドを塗って症状を今すぐ消したい! 隠したい! という気持ちよりも、
顔に薬を塗らないすっきりした感じが好きだったのです。
「アトピーの顔を隠す気持ちは良くない」なんて言ってませんよ。
赤い炎症の顔を隠したくなる、早く消したい気持ちはあってもいいですよ。
私だって北京旅行で旅のガイドさんに薦められて買った漢方薬(現地の医師が処方してくれました)を飲んで顔が真っ白けになった時は、めちゃめちゃ嬉しかったですから。
でもその漢方薬を飲んでいると、どんどん身体がだるくなり、身体にヘルペスが出ました。副作用が出たんでしょうね。
顔は白くなりましたけど、健康的な白さではなく、ちょっと不自然めいた白さだったので家族からとても心配されました。そしてヘルペスがでて、なんかおかしいと気づけたのです。
私はステロイドを塗って肌を白くすることを目指すよりも、
二度見される辛さよりも、
ステロイドを顔に塗らないことを選んだのです。
私の顔はアトピーであっても、それは「私の素肌」であり、素肌でいることを選んだのでした。
私がアトピーを完治させた時、ステロイドも漢方もやっていませんでした。
特別なことはやっていません。
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