アトピーの方は過酷な仕事環境に身を置く方が多いです
仕事を終えて帰る道すがらに見上げる夕焼けって「今日も一日がんばったな」と心を充実させてくれますよね。
え? 夕焼け時でも会社にいるよ? ですか?
そうですよね。終電車でも仕事帰りの人たちで満員ですものね。
そこで、そこでなのですが……。
今から、私の心から離れがたいことをお話しします。
もちろん、アトピーのことです。
今まで13年間、アトピーで悩まれる方々にお会いしてきました。
皆様、いろいろなご事情を抱えておられるのですが、
過酷な職場環境でがんばっている方が珍しくないのです。
長時間労働であったりとか、重い責任を負っている方が多いのです。
はたまた、職場の同僚たちに「とても気を使っておられる」方……など、仕事でしんどい思いをされているケースが目立つのです。
それがアトピーと関係あるの? と思われことでしょう。
しばらく、お時間をくださいね。
人手不足といわれて久しい昨今です。
仕事量は増える一途でしょう。
アトピーのことを思えば、身体を休ました方が良いでしょう。
疲れたら、休みたいな、と思ってもいいわけです。
しかし、権利としてある有休すらも取りずらいのが実情ですよね。
同僚がまだ働いているのに、先に帰るのも気まずくて、夜遅くまで働いてしまうこともあるでしょう。
ましてや、人一倍に仕事に熱心な人を、この国では「立派な人」と持ち上げます。
同僚の業務までこなして、やり遂げる人を、この国の社会では「仕事のできる人」と評価します。
私たちの背景にある社会が、がんばることを強いることも手伝って、自らの仕事、働き方を自分自身でコントロールしにくい。
ここまでは、よくご承知のことだと思います。だけど、新たな問題を生み出し根深くさせるのが、≪仕事にのめり込んでしまう≫ことなのです。
あなたの仕事観にこのような傾向がありませんか?
アトピーの方のお話をよく深く聴いていると、こんな次のようなことを伺うのです。
「周囲の期待にこたえようとして、頑張っています」
「つらいけど、いつも元気だねっていわれたら嬉しくて、がんばってしまいます」
「いつも明るくて元気だねと、いわれたい。そういわれないと寂しくなる」
「しんどいけど、弱音なんか吐けない」
「自分の責任でもないことでも、一生懸命にやってあげようとする」
あなたも上記のような傾向はありますか?
どれも、職場では素晴らしいことだと称揚されていることですよね。
しかし、誰かのためにいいことをしたい、役に立ちたいと一生懸命にがんばるうちに、しだいに自分が消耗していき、「もう限界だ!」と燃え尽きてしまうことは珍しくありません。
こういった仕事などで「燃え尽きてしまう」ことをバーンアウトといいます。
「燃え尽き」とは、ただ仕事に疲れたレベルを超えて、「気力がなくなった」「結局、俺は何をしてきたんだろう。むなしいよ」「人の世話ばかりしてきた。もううんざりだ。耐えられない」と心から「もう限界だ!」と警告がでるようなものなのです。
この「燃え尽き」状態は、ひどい頭痛や鬱、心身症などといった症状をもたらすことがあります。
しかしながら、燃え尽き状態が進行していても、気づかない場合が多いのです。進行を止めるためには、まずは「燃え尽き」であることに気づくことなのです。
そのためには、いつも「なんのために私は仕事をしているのか」これを自分に問いかける必要があるでしょう。
職場の新人さんであれ、ベテランさんであれ「自分にとって仕事をする目的とは?」と、心に問いかけてください。
ワーカホリック(仕事依存)になっていませんか?
ちなみに、ワーカホリックという言葉があるのをご存知でしょうか?
朝から晩まで仕事ばかりやって、家に帰っても、休みの日でも仕事のことで頭がいっぱいで、自らが自分の働き方をコントロールできない状態をワーカホリック(仕事依存)といいます。数ある依存症のうちのひとつです。
ついつい、仕事ばかりやっていませんか?
仕事以外のことをやるのが億劫になっていませんか?
仕事のない休日、なにをすればいいかわからず、なんだか不安になったりしませんか?
でしたら、少なくとも「なんのために仕事をしているのか」と、ご自身の心に問いかける、内心に触れることは大事でしょう。
初めは仕事にやりがいがあって、手ごたえも感じられた。
だけど、いつしか業務を遂行すること自体が目的になって、自身を振り返る余裕すらもなくなった。
みんなから頼りにされるうちに、手を抜けない大変な状況が続き、がんばっても報われないと感じてしまったり、
だけど今更やめることもできない、ただ自分の使命感や責任感だけが頼りになってしまっている……このような≪仕事にのめり込む≫状態であるならば、燃え尽きが待っています。
そして、ここで、置き去りになっているのが、本当の自分です。
だから、自身の心に問いかける、心を感じることを忘れないでほしいのです。
ちなみに、仕事にのめり込む……バーンアウトの状態になるとアトピーで感じる生きづらい感情を含めた「自分の心のつらさ」を≪麻痺≫させて≪感じなくさせ≫≪抑圧≫させてしまいます。
ゆえに自分が消耗していることに気づけないのです。
何かにのめり込む、依存することで、つらい感情を麻痺させ抑圧させます。そうすることで時に人は深い悩みを乗り越えようとします。ですが、その乗り越え方は不健全であり、新たな問題さえ生み出すのです。十分に気をつけてください。
アトピーの方々の辛い胸の内をお伺いする中で、垣間見られる仕事観、働き方、職場環境について、「なんのために仕事をしていますか?」「誰かのお世話ばかりして自分を忘れていませんか?」と立ち止まって感じてほしいと私は思うのです。
そうです。
立ち止まってもいいのです。
ずっと歩かなければいけないことはないのですから。
たまには自分自身を振り返る時間をつくってくださいね。
アトピー解放心理セラピスト
特定非営利活動法人日本成人病予防協会会員 健康管理士 渡辺 勲