アトピー性皮膚炎(以下アトピー)において食事が原因となるのは幼児期においてです。
一方で、大人のアトピーは事情が違います。
大人のアトピー性皮膚炎にアレルゲン食品を除去しても効果がないのです。
アレルギーとアトピーは同じ皮膚疾患ですが様相が違います。
アレルギーには特定の原因物質があります。が、アトピーにはありません。
よって、食事からアレルゲンを除去してもアトピーに効果があるとは言い切れません。
ですから、
あなたがアトピーに悩む大人の方ならば、好きな食べ物を過度に我慢する必要はありません。
もし、あなたが幼児期の頃にアトピーが発症した経験があるならば、その時の原因は食物だったといえましょう。
アレルギー症状は成長するにつれて変化します。
① ゼロ~1歳頃は食物アレルギーが発症しやすい
② 1歳~3歳頃にアトピー性皮膚炎が発症しやすい
③ 3歳~6歳頃に気管支喘息
④ 6歳以降は花粉症になりやすくなります。
確かに幼児期における主な原因は食物です。
皮膚疾患の出発点は食物アレルギーだといえます。
そして、幼児期に食物にアレルギー反応をしてしまうと、年齢を経るに従い食物だけでなく様々な異物に対してもアレルギー(アトピー)を発症してしまうのです。
(ちなみに「様々な異物に対するアレルギー」の異物は食品やハウスダスト、化学物質ばかりではありません。
「他に避けるものがあるの?」
あるいは、
「何歳からが大人なの?」と疑問を持ったならば次のページ→アトピーの原因と完治のメカニズムを読んでください。)
要するにこういうことです。わかりやすくいえば、
「大人アトピー原因ランキング」に食事内容は上位にランキングいたしません。
「大人になってもアトピーが発症している」あるいは「大人になって急にアトピーになった」ならば、
食事内容よりも他の要因に気を配る必要があるのです。
いいですか?
とても大事なことをお伝えしますね。
現実に「いくら食べたい物を我慢しても、まったく治らない」と嘆く大人のアトピーの方がいかに多いか!
そうです。あなたが大人の方でしたら食事改善「だけ」でアトピーを治そうとするのは無理があります。
むしろ苦労が増えるだけです。
なぜならば、日本皮膚科学会がこのように言及しているからです。
日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2016年版)」151ページにおいて、
「アレルギーの関与が明らかでない小児および成人のアトピー性皮膚炎の治療にアレルゲン除去食は有用でない」
と明記されているのです。
CQ15.アトピー性皮膚炎の治療にアレルゲン除去食は有用か.
食物アレルギーの関与が明らかでない小児および成人のアトピー性皮膚炎の治療にアレルゲン除去食は有用でない.
ただし,食物アレルギーが皮疹の憎悪に強く関与すると考えられるアトピー性皮膚炎においては,原因となるアレルゲン除去食は効果があるが,ステロイド外用剤による一般的な抗炎症外用療法を十分に行うことが前提となる。診療ガイドラインより
そういえば最近、皮膚科に行きましても「アレルギーの血液検査」を積極的にしてくれないそうですね。
患者が依頼しないと血液検査はしてくれないのです。
無駄な検査費用を省くために良いことですが、それだけ食物アレルギーに関して医師も注視しなくなったのでしょうか。
子どものアトピーと大人のアトピーは見た目は同じでも違うのです。
大人の場合、アレルゲンを除去すれば緩和するものではないのです。
むしろ、除去しても治らない場合もあるし、除去しなくても治る場合があるのです。
ですから、
大人アトピーの場合、好きな食べ物を我慢してストレスになるくらいなら、過度な食事制限はやめましょう。
しかしながら、
アトピーが重篤の場合、食事の後に「身体が熱くなって、ぐったりしてしまう」ものです。
実際に食べると痒くなる食品は現実に存在しています。
ですから、症状が重い場合は以下の章で解説する点に気をつけるだけで大丈夫です。
それ以外のことに神経質にならないでください。
そして、あなたに口を酸っぱくしていいたいのは、
食事でアトピーを治そうとるすのではなく、軽い気持ちで食べ物に気をつける。
食事「だけ」で治そうとすればするほど精神的に行き詰ってしまいますからね。
「なぜ頑張っても効果がでないの!」といった具合に。
ただただ「特定の食品に関して」軽い気持ちで食べ過ぎないようにしましょう……それだけのことなのです。
大人アトピーの場合はね。
大人アトピーで過剰摂取を気にすべき最低限の食べ物
食べ過ぎが良くないのはアトピーだけに限ったことではありません。
ゆえに、健康増進の一環として軽い気持ちで実践してみてください。
以下の文章を読むと「特別なことをする必要はない」と思うことでしょう。
そうです。アトピーである自分を卑下する必要はないのです。
そして、大切なこと。
以下のことを厳守して食生活に取り入れても治るとは限りません。
悪化を食い止める程度だと覚えていてください。
白砂糖は痒みの原因 お菓子の食べ過ぎに注意
白砂糖は皮膚の代謝を阻害しますし、「炎症」や「痒み」の原因のひとつです。
砂糖を焦がせば赤くなりますよね。身体内で熱を帯びると炎症につながります。
そして痒みを起こさせます。肝臓で分解されると蟻酸になり蟻酸は痒みをもたらす成分です。
蟻や蚊に噛まれたら痒くなりますよね? それはこの蟻酸が原因です。
砂糖を調理に使うなら三温糖や和三盆がおすすめです。
果物も多く食べると美肌にならない
果物も果糖が多く含まれています。とりわけ柑橘類の果物は刺激が強いので痒みを起こします。
柑橘類の果物には、みかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモンがあります。
熱い熱帯で産する食物は身体を冷やします。ですので胃をいたわるために熱帯産の果物は身体を冷やすので症状が重い人は控えましょう。
パイナップル、ライチ、アセロラ、バナナ、マンゴ、パパイア、グアバなどがあります。
スーパーで海外産の果物の表示を見てください。そこには「こういう農薬を使用しています」とカタカナの農薬・防腐剤が記載されています。
つまり、収穫後農薬(ポストハーベスト)に気をつけましょう。
筆者である私にはバナナを食べて痒くなった経験があります。
それ以外なら少しを頂く分には問題ありません。
乳製品は嗜好品です。栄養にはなりません。
乳製品には栄養素が豊富です。だからといって身体内でそれが身につくとは限りません。
なぜならば成人の日本人は乳製品を分解する酵素を身体に備えていないからです。
乳製品を分解する酵素に乳糖があります。この乳糖は授乳期が終わった時期に日本人の身体からなくなるのです。
よって、ヨーグルトや牛乳は栄養食ではなく、あくまでも嗜好品です。食べても体内で栄養が吸収されないわけですから。
また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は胃液でほとんどが死滅するので腸にまで届きません。
乳製品とは北欧など冷涼な地で栄えました。日本の温帯の国ではなじみがなく明治時代に海外から流入され、戦後、やっと飲み始めたわけです。
ですので、日本人の身体には合わないのです。
(給食で牛乳が飲めなくて居残りさせられていた児童が気の毒だね)
また食べやすいので栄養を一気に摂取してしまうのも気になります。
腸内環境を良くするならばヨーグルトなど乳製品ではなくて、日本の伝統食である納豆・醤油・味噌といった発酵食品で摂取することをおすすめします。
納豆や醤油、味噌には乳酸菌・納豆菌・酢酸菌・酵母菌だけでなく、酵素も合わせて摂取できる優れた食品です。
アレルギー体質を固定化する動物性食品はよく噛んで食べましょう
アトピーを起こしやすい体質を「アトピー素因」と言います。
つまり「Ige抗体」を産生しやすい体質なのです。
ちなみに私は「Ige抗体」の数値が6000もありました。アトピー激悪化の頃です。
ではなぜ「Ige抗体」ができやすくなるのでしょうか。それはタンパク質の過剰摂取により、免疫が異常反応を起こすことで「Ige抗体」が出来やすくなると考えられます。
人間本来備わっている免疫機能が反応するのはタンパク質です。免疫は人間の生命にとって脅威となる細菌やウイルスに対して攻撃を起こしまう。
そんなウイルスや細菌はタンパク質でできています。
つまり免疫は「自分の身体と異なるタンパク質」を敵とみなして攻撃をするのです。
食物アレルギーになった時、皮膚科での食物負荷試験によって疑わしいアレルゲンを除去することでアレルゲンを特定していきます。
食物負荷試験によって卵や牛乳にアレルギー症状が現れなかった場合、それらの食品を除去する必要はないと言われますが、それは正しいとは思えません。
ただちにアレルギー反応が出なくても、食物アレルギーになったということは、タンパク質の過剰摂取が考えられるので、試験で卵や牛乳にアレルギー反応がなかったとしても卵や牛乳は控えることです。
卵がこれほど食べることができた時代は現代がはじめてです。
卵を消化できる許容量は女性でも1週間に1個くらいともいわれています。
また卵の色は鶏のエサに着色料など添加物を入れて食べさすことで「着色」されているのです。
この添加物とタンパク質の合成が卵アレルギーの真実である、といった指摘もあるほです。
つまり、食物へのアレルギーから始まるのですから、アトピー対策では食物とりわけタンパク質について気をつけるべきなのです。
動物性食品なら消化の良い白身の魚はアトピーの原因になりにくいですが、赤身・青い背の魚は消化しにくいので控えめに。
また肉類を油で揚げた食品の食べ過ぎにも気をつけましょう。
そして、動物性タンパク質もそれほど恐れることもなくて、
よく噛んで食べると唾液が毒消しをしてくれるので、
最低でも一口50回以上は噛みましょう。
いかがでしょうか?
健康のために身体をいたわるためにも大切な内容だったではないでしょうか?
また、食に関しての思い込みがなくなったことで気が楽になったかも知れませんね。
それでも「アトピーは除去食で治したいのだ!」と強く思われる方は上級編としてこちらのページ→アトピーを食事制限で治す方法とは?除去すべき食品とは?を用意しております。
文責/NPO法人 日本成人病予防協会会員 健康管理士
アトピー解放心理セラピスト
ワタナベ勲
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