スキンケアとは「お肌のケア」のことです。では、どうしてアトピー肌にスキンケアが必要なのでしょうか?
アトピーの肌は通常の肌と違い皮脂膜が喪失し皮膚バリアの機能が低下しています。
よって水分蒸発が激しく肌が極度に乾燥しているため痒みが悪化しがちです。
また、皮膚バリア機能の低下が細菌の繁殖をゆるしてしまい感染症になる恐れがあります。
よって、お肌のケアが大切なのです。では、何を使い、どうやってすればいいのでしょうか?
それが、おすすめのスキンケアである「化粧水もしくは美容液で保水をする」ことなのです。
ですが、間違った手順でスキンケアをしたり、「なんとなくいいかも」という安易な気持ちで商品を選ぶことに注意しましょう。
このページで市販の商品を買う時の参考にしてください。スキンケア商品に使用されている各成分の特徴を知って自分に合った商品を見つけましょう。
おすすめのスキンケアの手順
スキンケアの役割には「水分を与える」「保湿をする」があります。そして、この順番でスキンケアをやってください。
つまり、手順として、化粧水や美容液で肌に十分に水分を与えることを最初にしてください。
あとは適宜、水分が肌から蒸発しないようにクリームやオイルで保湿(水分蒸発を防ぐこと)をしてください。
ただ、私は化粧水・美容液だけで十分だと考えます。私もそうだったのですが、肌が火照って熱いのでしたらクリームやワセリンを塗ると熱がこもって辛さが増すからです。
スキンケアをしてかゆみを防ごう
乾燥は痒みの元でありアトピーにとって大敵です。
入浴の後に痒くなるのは皮膚から水分が蒸発するから痒くなるのです。ですからお風呂上りもスキンケアが大事です。
では、どうして皮膚が乾燥すると痒くなるのでしょうか?
肌が乾燥すると、かゆみを伝達する神経線維が表皮まで伸びて外部からの刺激に過敏になるからです。
よって脱保湿は乾燥をもたらし、かゆみを激しくさせるため良くありません。
朝の起床時や入浴時は、スキンケアをして乾燥を防いでかゆみを抑えましょう。
保湿をやり過ぎても皮膚は怠けません
スキンケアをやり過ぎると、皮膚の天然の保湿機能が怠けてしまう主張があります。
はたしてスキンケアは皮膚の保湿力を低下させるのでしょうか? そうであるならば、すべての女性は日々のスキンケアをやめる必要があるでしょう。
脱保湿を指導する皮膚科医師のご家族は保湿していないのでしょうか? そんなわけありません。入念にナイトクリームを塗っているはずです。
ましてやアトピーのあなたはスキンケアをする必要があります。
おすすめのスキンケア用品の選び方
スキンケア用品の選び方ですが、これは必ず成分表示を見て判断することです。
たとえ「界面活性剤不使用」「防腐剤不使用」「香料着色料無添加」「自然派」「天然」と商品に書いていたとしても安心できるとは限りません。
なぜならば、化学物質不使用であっても製造過程で使っていないだけであって原材料には含まれているからです。
石油由来の合成化学物質は皮膚の皮脂膜を奪い、肌の乾燥がすすむ恐れがあるのです。
つまり、「保湿すると皮膚が怠ける」のではなくて、スキンケア用品に含まれる化学物質や保湿剤に含まれる成分が乾燥肌を促進しているといえるのです。
まず、市販のスキンケア商品を選ぶ際、成分表示を確認することです。
そして、次に記した言葉が表示にあるかどうか見てください。あれば、できるだけ避けるなど注意をしてください。
成分表示でこれらの言葉があれば使用にあたっては注意しましょう。
「硫酸」「PG」「BG」「安息香酸」「パラベン」「フェノキシエタノール」
「無添加」「オーガニック」は肌に良いのか?
無添加・オーガニック商品は安全とは限りません。
なぜならば、無添加といっても化学物質が入っている可能性があるからです。
そもそも、無添加の意味とは何でしょうか?
無添加とは薬機法(旧薬事法)が指定するアレルギーを起こす恐れのある化学物質102種類を含んでいないだけなのです。
当然ながら102種類以外にも化学物質はあります。
ちなみに、EUでは5000種類、アメリカでは800種類の有害化学物質が法律で指定されています。
日本は基準が甘く102種類しか指定されていません。
よって、諸外国で使用を禁止している化学物質が「無添加スキンケア商品や化粧品」に含まれているのです。
なお、オーガニックにある「安全なイメージ」には明確な根拠はありません。
化粧品は厚生労働省所轄の法律によって規制を受けています。
しかし、法律にはオーガニックの定義はありません。
つまり、企業が自前で「これはオーガニック商品です」と主張しているだけなのです。
オーガニックにも化学物質が含まれている恐れがあるわけです。
目的別おすすめのスキンケア成分
スキンケア用品には使用する目的別(①潤いを与える・②乾燥を防ぐ・③傷の改善・抗炎症)に対応した様々な成分が含まれています。
目的に合った成分をご紹介しますので、化粧水・美容液等を選ぶ時の参考にしてください。
なお、以下の成分が肌の状態によって合わない場合があります。その際は製品の諸注意に従い使用を停止されてください。
① 皮膚に潤いを与える
ヒアルロン酸
保水を目的とするスキンケア用品に使用されています。ヒアルロン酸はその質量に対して6000倍の保水力があります。角質層で水分を保持することで肌にみずみずしさを保ち乾燥を緩和させます。
リピジュア
低い刺激でヒアルロン酸の数倍の保水力があります。掻くと白い細かい皮が落ちるような肌に推奨されます。また肌に膜をはって水分蒸発を防ぐ機能もあります。
セラミド
保湿を目的としたスキンケアアイテムのなかで、皮膚が本来持つ保湿能力を構成する細胞間脂質の成分をそのまま使用しているものがあります。それがセラミド成分含有のスキンケア用品です。
皮膚には水分を保持する構成要素がいくつかあります。細胞間脂質(セラミドなど)、NMF(天然保湿因子)、皮脂がそれにあたります。
セラミドは角質層の細胞と細胞をつなぎ、水分を保っています。ですが、アトピー肌の場合、角質層に含まれるセラミド含有量が30%も少なくなっているのです。
よって水分を保つことができず乾燥していますし、バリア機能も低下し、外部からの刺激にさらされている状態なのです。
ですから、皮膚の保護の観点からもセラミドは重要な役割を担っています。
② 乾燥を防ぐ
スクワラン
サラサラした感触で低刺激のためアトピー肌のスキンケア用品では多用されています。スクワレンは油脂が多く含みスクワランより高価なタイプです。
ホホバオイル
ホホバ科の植物種から生成されたオイル。刺激があまりなくて保湿力が高い、酸化しにくい特徴があります。塗り心地も塗りやすさも最適なタイプです。
③ 傷の改善・抗炎症
馬油
炎症を抑える作用があり広く使われています。馬油はできるだけ良質なものを使うことで高い効果が期待できます。
サージオイル
サージという果実および種子から取れる油です。種子から精製されたタイプは皮膚の傷の回復に使われます。掻き傷改善のために塗られることが多いようです。
まとめと補足説明
スキンケアでも皮膚科で処方される「保湿剤」を使ったやり方もあります。
ワセリンなど皮膚科処方の保湿剤に関しても詳しく知っておく必要があります。
そのために、アトピーはワセリンの副作用で悪化するを用意していますので読んでください。
そして、アトピーは何かひとつの対策をすれば治るものではありません。
スキンケアは大事ですが、対症療法であって根本的解決にはなりません。
よって、このサイトの他のページもご覧になって知識を深められることをお薦めします。
NPO法人 日本成人病予防協会会員 健康管理士 渡辺勲