マクロビオティックでアトピーを改善するためにはレシピは必要です。
ですが、もっとも手に入れるべきことがあります。
それは思考です。
マクロビを実践する際、あなたが使う言葉や思考は適切でしょうか? 大丈夫ですか?
調理法や食材の選び方よりも上位概念にあたる「思考の方向性」が適切でないと改善しません。
すなわち、努力に見合った効果が望めません。
食材の陰陽を気にするだけでは食養生の理念は会得できますまい。
私はある著名な先生の下で理論や料理法を学んだ過去がありますが、料理教室でも教えない”思考のレッスン”をこれから伝授します。
このページは、「実践者」「初心者」「よく知らない方」すべての方に役立つものです。
まずは「よく知らない方」のために基本の知識を簡単にお伝えします。
マクロビオティックの基本概念
「食養」をベースにマクロビオティックを確立し現代に復活させたのが桜沢如一です。
彼は食養の祖である石塚左玄の食養法により命を救われ健康を回復しています。
石塚左玄は明治時代の名医であり食養の祖です。食養には次の原則があります。
*主食・副食の割合を守る
*一物全体(食べ物を丸ごといただく)
*身土不二(自らが住む土地・季節のものをいただく)
*よく噛む
*陰陽調和
とりわけ石塚式食養では食物の中でナトリウムを多く含むものを陽性、カリウムを多く含むものを陰性とし患者の体質に合わせた食事指導による治療を行っていました。
マクロビオティックという言葉の源流はギリシャ時代の医師ヒポクラテス(西洋医学の父)が使用していた言葉であるマクロビオスにあります。
マクロビオスとは偉大な生命・長寿という意味であり、
その後の哲学者や医師も「自然に即した簡素な食事による健康で長生きする法」としてマクロビオティックを定義しています。
さて、ここまでの概論から、マクロビオティックには「自然にそって食事をすることで積極的に健康になる」そんなイメージがあります。
あなたのマクロビ実践の思考の方向性は適切か?
アトピー患者がマクロビオティックで症状を治そうとする場合、そこにはある固定された意識の方向性が生じます。
意識の方向性によって行動が決まりそして「結果が決まります」。
すなわち実践の結果はあなたの意識の方向性で決まります。
マクロビを実践される際には、意識の方向性を適切なものにしましょう。
なのに、多くのマクロビ実践者の意識の方向性は「問題やリスクに目を向けている」のです。
そうです。避ける意識が強いのです。ですから目くじらを立てて危ない食品を避け、陰性の食べ物を避けようとします。
牛肉や鶏肉、豚や魚なんてもってのほか、タンパク質や砂糖や油脂を徹底的に除去する行動を取ります。
ましてやアトピーの辛さ、痒みのひどさを今すぐなんとかしたい気持ちが強いので徹底的に「マクロビオティック」を実践しようとします。
たとえば、相談者様の中にはこのような方がおられました。
あるお母様は我がアトピーの子のために「油揚げを絞り切って油を抜き去る」調理をずっと実践されていました。
ですが、その熱意と裏腹にまったくマクロビでは治らないとこぼされていました。
ましてやアトピーの方は(私もそうでしたが)真面目な方が多いですので金科玉条のごとく教えてもらった食のルールを守ります。
アトピーに悪い食品を避ける「行動」を徹底されます。
そして、結果はどうなるか?
多くの方が「努力しても完治しない」結果になるのです。
それは、意識の方向性が適切でなかったからです。
「それはどういうこと? なぜ? どうすればいいの?」と思われた方は続きを読み進めてください。
マクロビオティック思考のレッスン
マクロビオティックは単なる食事改善方法ではありません。
ただただ動物性食品や砂糖を避けて玄米菜食をすれば病気が治るわけではありません。
ではどうすれば少ない努力でも効果を上げることができるのでしょうか?
マクロビをやってもアトピーが治らない3つの理由を述べながら考え方をお伝えします。
アトピーを除去するために実践していませんか?
はたして「マクロビオティックとは単なる病気を治す技法」なのでしょうか?
桜沢如一は「宇宙の秩序7つの原則」を提唱しています。
そのなかに「オモテあればウラあり」があります。
つまり、オモテとウラは正反対だが同時に互いに不可欠な相補性であって「オモテなくしてウラなし」「ウラがあってオモテがある」わけです。
ですから、健康がオモテならウラの病気を徹底的に叩こうとするのは愚昧です。
だって、ウラがあってオモテがあるのだから。
すなわち、健康があって病気があるのです。病気があって健康があるのです。
病気だけを身体から取り除いて除去することはできません。
オモテがあってウラがある。ウラがあってオモテがあるのだから、片方だけ除去するのは不可能です。
ちょっと考えてみてくださいよ。
なぜ、あなたは西洋医学のステロイド治療を禁忌しマクロビオティックに道を求めたのか?
それは西洋医学の病気を叩くやり方、すなわちステロイドを塗って炎症を抑制する考えに疑問を持ったからでしょ?
なのにマクロビオティックでも同じ考え……アトピーを消し去りたい!……そんな意識の方向性でマクロビオティックを実践していませんか?
ならば、それって、意識上では炎症を抑える薬物治療と大差ありません。
「アトピーさえ治ればいいのだ!」……それはマクロビオティックの本質に反しています。宇宙の秩序からみれば「達成不可能です」
「なによ! アトピーを治したいって思ってはいけないの!」
「誰だって治したいって思うのは当然じゃん!」
あなたはそう思ったことでしょう。
気をしずめて続きをお読みください。
陰陽の法則を無視していませんか?
マクロビオティックの創始者である桜沢如一「宇宙の秩序7つの原則」には他にもこんな原則があります。
【絶対、無限、永遠、唯一なるモノは2つの相反する陰・陽を生む】
つまりどういうことか?
病気・健康といった二大対立エネルギーは絶対、無限、永遠の世界から生じたものです。
ですからこの二大対立エネルギーは「唯一なるもの」から別れたものに過ぎません。
病気と健康という二項対立は、そもそも「ひとつ」だったのです。
なぜあなたは「明るい」を知っているのか?
それは「暗い」を知っているからですよね。
もしあなたが無人島に生まれ育っていたら自分をどうやって「男だ」「女だ」と知れるでしょうか? 知ることはできません。
「陰・陽」「男・女」「長い・短い」「美・醜」「善・悪」「高・低」「健康・病気」
このように私たちは物事を分離させる二元論で世界を見て価値判断することに慣れているからわからなくなっていますが、元は一つの存在なのです。
物事や状態には≪男≫≪女≫、≪長い≫≪短い≫といった二項対立が内包されています。けれど、元は同じなのです。
健康も病気もそもそも元は同じなのです。
だから、病気=アトピーだけを除去することはできない。
よって、アトピーを必死に治そうとすればするほど治らないのは当然なのです。
事実、アトピーの方は治そうと思えば思うほど、頑張ればガンバルほど治せてません。あなたもそうではないですか?
さらにいえば、私たちは「明」がポジティブで「暗」がネガティブだと思わされている。
だから「明」=ポジティブに向かって努力し頑張ることが当然になっている。
ですが、ポジティブを目指そうとすればするほど「暗」が色濃く目立つのです。
なぜならば、ポジティブとネガティブは表裏一体であり切り離すことができないからです。
それはマクロビオティックの陰陽の太極図が教えてくれています。
つまり、「アトピーなんていや!」「顔の赤みを消したい!」と考えてマクロビに邁進すればするほどますますアトピーという悩みは大きくなる。
問題を除去するといった意識の方向性はマクロビオティックの「宇宙の原則」からズレています。よって、結果もズレてしまいます。
まるでそれは、多くの方が失敗した薬物療法と同じ道ではありませんか。
でも、「またアトピーがでると思うと不安になります」と、思われましたか?
それは「光」だけしか見たくないからです。しかし、見たい側面には見たくない側面が潜在しています。よって、見たくない不安な自分を消し去ることはできません。
アトピーの自分を恥として、それをなんとかしなくてはいけないと考えてマクロビを実践しても悪循環になるのは、そのためです。
繰り返しますが、光だけを強めれば暗さがますます浮き彫りになるだけだからです。
先述しましたが、アトピー患者がマクロビオティックで治そうとする場合、そこにはある固定された意識の方向性「避ける意識」があります。
その意識で食生活の見直しをやっても「ではこの食品はダメなのか?」と暗、ネガ、マイナスばかりが目立ってきます。つまり、苦しみが大きくなるだけです。
もうお分かりでしょう。あなたがマクロビオティックでアトピーを治そうと思っていて努力が実を結ばない理由を。
古代の哲学者や医師は「自然に即した簡素な食事による健康で長生きする法」としてマクロビオティックを定義していましたよね?
この定義に避ける意識の方向性はありますか? ありませんよね。むしろ積極的に健康を目指すことをすすめています。だから、定義に含まれる意識でやればいいのです。
桜沢如一も「好きなことをやってやり抜く」人生観を唱道している通り、避けてばかりではあなたの願望である「健康」は獲得できません。
そうです。実践するべきはマクロビオティックの背景にある根本思想なのです。
まさに、古来より言い伝えられている「病気治しは人治し! 病気治しは生き方治し!」ですよね。
陽極まれば陰なり
アトピーはアレルギーとはちがいます。
アトピーはアレルギーと違ってアレルギー物質(アレルゲン)を除去したからといって治るとは限りません。
マクロビオティックが禁忌するタンパク質や乳製品といった食品を除去しても治るとは限らないし、逆に食べたとしても悪化しないものです。
なぜならばアトピーはアレルギーとちがって特定の原因物質(アレルゲン)がないからです。
アレルゲン食品を避けてもアトピーは治りません。ですから、あまり目くじらを立てて除去食にいそしむことはお控えください。
東洋医学が教える「陽極まれば陰なり」です。何事も過度にやり過ぎる弊害があります。
マクロビでアトピーを改善するコアな考え方とは?
マクロビでアトピーを治すために必要な考え方とは何でしょうか?
マクロビを実践する際に身に付けたい意識とは何でしょうか?
ここまで読まれてもうお気づきでしょう。
それは桜沢如一がすでに教えてくれているのです。
「好きなことをやってやり抜く」そのためにアトピーをやめていく。
こういう考え方に基づく意識の方向性でマクロビを実践するのです。
避ける意識ではなくて、健康を獲得するためにマクロビオティックを実践してください。
マクロビを実践することが目的化してませんか? 何のためにやるのか? 目的を忘れないでください。
されど、マクロビオティックをやってもアトピーが治らないならば、次にリンクのページをお読みください。
文責/マクロビオティック望診法指導士
NPO法人 日本成人病予防協会会員 健康管理士
渡辺勲