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アトピーを理由に仕事を休んでも良いのか?

車のネオン
アトピーを理由に仕事を休んでも良いのか?

こういう問いを立てることができるほど、アトピーは病気だけど病気らしからぬ認識をまとっている。

他の病気では仕事を休むことへのためらいは、ほとんどないといって良い。医師から手術や療養をすすめられて、仕事をしばらく休む必要がおのずとでてくるだろうから。まずもって患者は身体が思うように動かない、痛いから働けないゆえに働きたくても休まざるをえなくなる。

ゆえに「アトピーを理由に仕事を休むかどうかなんて本人が決めれば良いことではないの?」と他の患者からすれば奇異に思うだろう。

しかし、アトピー患者からすれば仕事を休むかどうかについて、独特のためらいがあるゆえに、アトピーで仕事を休めるのか? という問いは十分に成り立つのである。

されどアトピーは病気である。しかし、他の病気とは違う点がある。それは「四肢が動く」こと。そして「薬を塗れば治るのではないか?」という会社側の認識がある。

さらに「誰かの役に立たない自分は価値がない」といった強い想いが休むという判断を遠ざける場合もある。そして私が相談に応じた多くのアトピー患者だちは我慢強かった。どんなに深刻な問題であっても軽く受け流すことをされる方も多い。「最近、ましになりましたから」「すこし良くなった感じがするので」と、自分の過酷さを軽く評価する傾向もみられる。だから「もう少し、頑張ってみようか」と結論を出す。結果、どんなにつらくても休暇を会社にお願いすることを断念する。

もし痛みがあったり、命に関わる病気であれば、休まざるをえない。でも、アトピーは四肢が動く。歩ける。タイピングくらいはできる。

私も症状が悪化しても、なかなか休めなかった。半年もがんばってしまった。全身が乾燥して身体を動かす度に身を切られて痛いし、心臓の動機が激しくなり身体が気だるくなっても辞めなかった。「薬塗っているのか?」「ステロイドを嫌うなんてわがままだよね」と、上司同僚からいわれるのだ。かつての私のように会社のアトピーへの無理解も手伝って、休みたいけど休むことができない方もいるだろう。

命に関わる、死に至る病ではないことも辛さを押して勤務を続けることに与しているに違いない。そしてさらに私たちはこう考えるのだ。「来月になれば治るのではないか?」「季節が変われば治るのではないか」と。そして、「勤務を休んで家にいても治るとは限らない」と、ここまで思考を展開してしまう。よって、マスクをして顔を隠して勤務を続けてしまう。

さらにアトピーで仕事を途中でやめるのは自分の弱さを暴露してしまう感じがして、頑張る人もいるだろう。「いつも元気ですね」といわれるのがうれしいのです、と吐露される方も多い。他人の評価が自分の価値を決めると強く信じていたら、ますます苦しい気持ちを隠して勤務に励んでしまうだろう。

でも、つらさは変わらない。薬物で抑えるしかない。なのでステロイドを長期に常用する方が輩出されてしまう。そのステロイドだが、長期連用使用が禁止されている。効果より副作用が大きくなるためだ。そしてステロイドは長く塗れば塗るほど効果は低減していく。「皮膚が薄くなって塗っても効果もありません」と、嘆かれる方々の人生に私は向き合うこと13年になる。

彼女彼らたちは仕事を休むか継続するかの幾多の岐路において薬物で乗り越えてこられたといえる。

そして、苦境を薬で抑えてご自身を駆り立てようとされているあなたへ。その代価は確実に支払わなければいけない時が来ることを忘れないでほしい。もちろん仕事を休んでもかまわない。禁欲は身体に良くない。仕事で自身の辛さを麻痺させてはいけない。あなたの欲求を抑圧するばかりでは何のために生きているのだろう。そう自分に問う時間を持ってほしい。

決して誰かの、組織の理想のために生きてはいけない。